9:30ごろに出勤。まずはカフェドクリエに行って朝食を買い、会社で食べる。今日は牧之瀬さんが昼ごろ出勤なので、僕がコーヒーを作る。
まずは日機連99のネタを探す。昨日、日向さんから聞いたことを参考に、ちょっと違う視点で探してみる。午前中はひたすらその作業を続けた。
午後になってからは15:00から紅虎餃子房と打ち合わせが入っていたので、日経BP社からもらった資料を見ながら予習をしておく。14:20ごろ会社を出て、丸の内センタービルディング地下1階の紅虎餃子房に行く。ちょっと早く着きすぎたため、店の前でのんびり待っていた。するとちょっとして高橋さんが来た。それでもまだ待ち合わせの時間まで20分ほどあったので、近くの喫茶店に入り時間をつぶす。喫茶店ではロケの日程、今日打ち合わせに行く紅虎餃子房の話、他の店舗の打ち合わせ日程についてなどの話をする。待ち合わせ時間5分前ぐらいに喫茶店を出て紅虎餃子房に行く。ここで僕は大きなミスをしてしまった。別に仕事のミスではない。コーヒーを飲んだ後、トイレに行って小便をしておくべきだったのだ。このちょっとしたことが後になって大きく響いてくるとは、このときは微塵にも思わなかった。
14:55に紅虎餃子房の前に行った。すると店の人とおぼしきかっぷくのいい男性が店の前でコードレス電話の子機を持って話をしていた。その人をよけて店の中に入り、大きな声で「失礼します!日経映像の隼田と申しますが、今日は日経レストランのビデオ撮影の件で打ち合わせに参りました」と言った。すると中にいた店員は意味がよくわらからないふうな表情を浮かべこちらを見ていた。と、そのとき、店の外で電話をしていた男性が、「失礼!ちょっと待っててください」と声をかけてきた。どうやらこの方がうち合わせ相手の店長であるらしかった。僕と高橋さんはそのまま店の一番奥の席に通された。席についてちょっとしてから店員がウーロン茶を持ってきてくれた。それには手をつけずに、資料とノート、名刺を出して店長に挨拶する準備を整えておく。店長はすぐに僕らの元へ来た。まずは名刺交換。店長の名刺は不思議な模様が入っていた。
まずは高橋さんからビデオの概要が説明される。店長は大きく相づちを打ちながら聞いていた。そして一通りビデオの内容の説明が終わったころ、店長は「私はねえ、この5つのCとかなんとかっていう、本に書いてあるようなことを守る店長は最低の店長だと思うよ」と、びっくりするようなことを話始めた。どうやらこの店長は今回のビデオで意図しているような方ではないらしい。それは悪い意味ではなく、もっと別の手法を使って売り上げを伸ばしてきた方というような意味なのだが、とりあえずビデオ、日経レストランに出ているようなやり方とは合わない方には間違いないようだった。この店長は何よりも従業員の和=輪と、普通の人が普通に持っている常識感覚というものを最も大切にしている方だった。ビデオではどちらかというとマニュアル、管理といったようなものを前面に出しているだけに、その流れに合わせるには非常に難しそうだった。
打ち合わせは終始、店長のペースで進んでいった。店長がこれまでやってきたこと、自分がやっていることの意味、そういったことを非常に詳しく、丁寧に話してくれた。僕はそれをノートにメモしていこうとしていたが、店長が「隼田さん!これは雑談なんだから!」と言われ、ペンを置かざるを得ないような状態になった。仕方がないので神経を話に集中し、できる限り記憶していくことにした。
1時間ほど話を聞いたところで一つの問題がわき上がってきた。小便をしたくなってきたのである。この店に入る前にコーヒーを飲み、さらに店長がウーロン茶をどんどん出してくれるということもあり、尿意は刻一刻と強くなってきた。最初、その尿意は普通に我慢できる程度のものだった。しかし時間が経過していくに連れ、姿勢を維持しているのさえもつらい状態になってきた。店長の話に終わる様子は見られない。
16:30ごろ、尿意は過去経験したことのないレベルに突入した。ここまできたら後は自分との戦いだった。店長の話を聞き逃してはいけないため、全神経を話に集中させる。しかし下半身はかつてない尿意に支配されており、いかんともしがたいものがあった。僕はここで仮に17:00を一つの目標とした。「なんとか17:00まで耐えよう。それまでには終わるだろう」と考え、我慢することにした。しかし17:00が近づいてきたが、一向に話が終わる様子は見られなかった。そしてとうとう17:00をまわった。
17:00を過ぎると、僕は一つのことを学んだ。僕はそれまで、尿意というものはある一定以上のレベルを超えると、あとは一定の感覚が続くだけなのかと思っていた。しかしそれは甘かった。尿意というものには天井がないのだ。16:30にかつてない尿意を感じ始めて、17:00を超えるまで、時間の経過に従って尿意は非常なまでに強くなっていくではないか。このとき僕は、小便を我慢しすぎて死ぬことがあるのではないかという考えが浮かんでいた。死ぬことはないということはわかっていながらも、体に何か重大な問題が発生するのではないかと心配になってきた。
17:10あたりで、ようやく話がまとまりかけてきた。僕の心は歓喜に満ちあふれていた。最後にロケの日程についておおまかな打ち合わせをして、ようやく話が終わった。荷物を片づけて立ち上がろうとしたが、案の定うまく立てない。下腹部をかばいながら、そろそろと立ち上がり、ゆっくりと入口の方へ歩いていった。ここで最後の力を振り絞って「それでは後日私から日程について打ち合わせの電話を差し上げます。今日は長い時間、どうもありがとうございました」と言って店を出る。店を出るとすぐに高橋さんに、「あの、すみませんが、むちゃくちゃトイレに行きたいんですけど」と言った。すると高橋さんも同じらしく、「押せばすぐ出る状態だよ」という返事が返ってきた。店は地階フロアの一番端にあるのだが、トイレはその全く反対側の端にあった。2人でやや急ぎ足で、しかしゆっくりと歩いていった。距離にしておよそ50mくらいだろうか。しかしそのときの僕にはそれが300mぐらいに感じられた。ようやくトレイにたどりついたときには、九死に一生を得たという言葉がぴったりと当てはまるような気分だった。用をたし、外に出て高橋さんと立ったまま明日の打ち合わせの件で少し話をする。それから高橋さんはJR東京駅へ、僕は東西線大手町駅の方へ歩いていった。
会社に戻ると、すぐにプロデューサーの阿部さんに打ち合わせの内容を報告した。それからは日機連99の構成案の練り直し作業にとりかかる。資料をじっくり読み続ける。しかし途中でハラがへってきたので、19:00ごろ会社を出て夕食を食べに行く。20:00ごろ会社に戻り、作業を再開する。資料を一通り読み終えたところで文章を書き始める。そういった作業を続けていると、知らない間に23:30になっていた。まだもうちょっと文章を書こうかと思ったが、残りは明日にして今日は帰ることにした。
23:45ごろ会社を出る。