今朝はちょっと早めに出勤しようと思っていたのだが、目が覚めると9:50だった。どうも最近朝に弱くなってきているようだ。とりあえず急いで身支度を整え、部屋を出る。会社に着いたのは10:30ごろだった。
会社に着いて、自分の机の上に鞄を置いた瞬間、部長の丸山さんから手招きされた。返事をして近寄っていくと、奥の会議室から見知らぬ女性が出てきた。丸山さんは「今日から契約としてうちで働く斉藤さんです」と女性のことを紹介された。女性も「クリークから来た斉藤です。よろしくお願いします。」とハキハキした感じで挨拶してきたので、僕も「ハヤタです。よろしくお願いします。」と、むちゃくちゃさわやかな雰囲気を醸しだしつつ挨拶する。その後、丸山さんから「それじゃもろもろ頼むよ」と言われる。そういうわけで、案の定僕がもろもろの指導をすることになった。
自分の机に戻り、鞄からノートパソコンを取り出していると、デスクの牧之瀬さんが来て「斉藤さん、ハヤタくんのホームページを見てたらしいよ」と教えてくれた。ハヤタくんのホームページというのはこのページのことである。一瞬ヤバっと思った。いや、別に何もヤバイことは書いていないのだが、何となくただならぬことが起きそうな予感がした。こういうホームページを作っていると、いつかはこのページの読者と出会うだろうと思っていたのだが、意外とあっさりそのときが来てしまった。
平静を装いつつノートパソコンを会社のLANに接続していると、斉藤さんが「ハヤタさんのホームページ見てましたよ」と語りかけてきた。なんでも、Yahooで「AD」というキーワードで検索したときに僕のページを発見したとのことだった。確かに、こういう仕事をしている人だったら「AD」や「ディレクター」などの単語で検索することもあるかもしれない。とりあえず、今後しばらくは一緒に働くことになるので、その間、僕のサイトの感想や改善点などをいろいろ教えてもらおうと思った。
斉藤さんはついこの間まで短期間、別のプロダクションで仕事をしていたらしいのだが、仕事の経験的にはほとんど素人と変わらないということだったので、イチから仕事を教えていくことにした。まずは総務と経理に連れて行き、挨拶してまわる。その後、「作品ができるまで」という、新人教育用のレジュメを渡し、読んでもらう。これは僕が入社した時、先輩の大津さんからもらったものである。僕もこういうものを作ろうと一時期考えてみたのだが、いざやろうと思うとかなり時間がかかることが判明したので、結局大津さんのものをそのまま流用することにしたのである。
斉藤さんが一人でレジュメを読んでいる間、僕は素早く身支度を整え、CMのネタを考える。というのも、今日の夕方に栃木県のCMの打ち合わせをすることになっているのである。そこで僕も案を出すことになっているのだが、案を考えるのをすっかり忘れており、これから急いで考えなければならないハメに陥ってしまったのである。しかし焦れば焦るほどネタは浮かんでこない。さらに、他にもやることが多々あり、CM案を考えるだけに時間を費やせない。昼前にディレクターの飯島さんが会社に来て、幾つか調べものをするよう言われた。すぐに方々に電話をかけ、リサーチに取りかかる。とりあえず午前中にリサーチを終え、結果をまとめて文章にする。
午後から、まだ決まってない女性タレントの選定作業に入る。何人か候補を上げ、事務所に電話をかける。15:00ぐらいからようやくCMネタを考える作業に戻る。とりあえずストレートな案を1つ作り、コンテを描き上げる。16:00ごろ、ディレクターの飯島さんにCM案を見てもらう。すると「ひねりがない。このまんまじゃしんどい」と言われたので、すぐさま別の案を1つ考える。
16:15ごろ、ディレクターの渡辺さんが会社に来て、一気にコンテを仕上げる。集まったコンテは飯島さん案が6つ、渡辺さんと僕が1つずつの計8案。それらをまとめてコピーし、会議室でネタのすりあわせを始める。16:40ごろ、プロデューサーの内田さんにも来てもらい、4人でどのネタにするか話し合う。内田さんは僕の案を見るやいなや、「お前の案は金がかかりすぎる。ダメ。」と言ってボツにしてしまった。ヒジョーに残念だったが、自分でもひねりのない案だと薄々気づいてはいたので、ボツになるのも当然かもしれない。結局8案のうち、飯島さん案が3案、渡辺さん案が1案採用されることになった。この4案を来週月曜日、スポンサーのところに内田さんが持っていき、そこで1つに絞られる。
17:00ごろ、イラストレーターの方が会社に来る。僕が会議室に案内し、まずはみんなで名刺交換。その後早速コンテの絵を描き始めてもらう。初めて会うイラストレーターの人だったが、絵を描くスピードは非常に速い。それでいてすごくいい絵を描いてくれる。今後僕が企画書などでコンテが必要になったとき、この人にお願いしようと思った。絵を描いてもらっている最中、僕は各方面にリサーチの電話をかけたり、CMの企画案を文書にする準備をするなどしてかなり慌ただしく時間が過ぎていった。18:30ごろ絵が完成し、みんなで見る。誰もが文句ない満足いく絵だった。イラストレーターはそのまま帰り、飯島さん、渡辺さん、そして僕の3人で企画案を作り始める。
まず飯島さんがAdobe PageMakerで企画案のテンプレートを作り、それを元に飯島さんと渡辺さんが文章を打ち込んでいく。それと平行して僕がイラストレーターに描いてもらった絵をスキャナで読み込み、サイズを調整してファイルサーバに保存していく。ここで今日来たばかりの斉藤さんに作業を手伝ってもらう。大量にあるパンフレット、本の中から「古い」写真を選び出す作業をやってもらう。初めて見る資料の山の中から探すのはかなり大変だっただろうが、意外と素早く見つけだしてくれた。それらの資料を受け取り、これまた僕がスキャナで読みとっていく。読みとった後のデータを4:3に揃え、どんどんファイルサーバに保存していく。そのデータを飯島さんと渡辺さんが企画案のテンプレートにはめこんでいく。素早く作業をこなしてくれた斉藤さんは20:00ごろ、部の飲み会に誘われ、どうしようか悩んでいた。そこで一言、「とりあえず行ってみたらいいよ。」と言ってみた。飲みに行くと、みんなと手っ取り早くうち解けることができる。みんなのキャラもなんとなく掴むことができる。そう思って飲み会に行くことを勧めてみた。
企画案は21:00ごろなんとか完成。後は細かい微調整だけとなった。この作業は明日やることにして、今日はみんなと一緒に飲みに行くことにした。素早く荷物を片づけ、21:30ごろ会社を出る。
会社の近くの飲み屋に行くと、珍しくものすごい人数が来ていた。斉藤さんは既にかなり飲んでいるようだったが、全く酔った形跡がなかった。聞いてみると案の定かなり酒に強いらしい。確かに外見からも強そうに見える。見たまんまだった。飲みながら斉藤さんと話をする。どうやら彼女は大学在学中から僕のページを見ていたとのことだった。確かに僕のページの読者はほとんどが大学生である。その読者がうちの会社に入ってきても不思議ではない。
23:00ごろ、店を出てみんなで駅に向かう。駅の入り口のあたりで内田さんが、まだ飲み足りそうな素振りを見せ始める。斉藤さんがそれを見て一瞬ためらっていたが、すぐさま僕が「あれについて行くと終電の時間を余裕で越えるよ」と、賢明なアドバイスをして一緒に地下鉄の駅に降りていく。彼女とは地下鉄の路線が同じだったので、一緒に帰る。斉藤さんは一見、すごくアクティブで人当たりがよいように見えるが、よくよく話してみると確かにそのまんまの人だった。これから大変な仕事もあるだろうが、がんばってこなしていってくれそうな気がした。電車が早稲田に着くちょっと前に「斉藤さんのことはホームページに載るよ。」と宣言する。斉藤さんはイヤそうじゃなかったので、本当に書くことにした。
部屋に帰り着いたのは23:50ごろ。友だちと2:30ごろまで長電話する。電話を切ってしばらく経ったところで、知らない間に眠りについてしまう。