ついにこの日がやってきた。僕のディレクターデビュー作品のMA日である。1カ月半ぐらいのディレクターとして制作してきたビデオが、今日いよいよ完成する。
今日は気合いを入れて早めにスタジオ入りして・・・するつもりだったのだが、目がさめたら9:20。MAが始まるのは10:00。もしも今日、寝ていたのが会社だったら、余裕で塩浜のクロースタジオに到着したのだろうが、運の悪いことに、今日は早稲田の自室で寝ていたのである。目が覚めた瞬間、心臓が凍りそうになった。急いで服を着替えて1分もしないうちに部屋を出る。走って新目白通りに出て、タクシーをつかまえる。危ないところではあったが、ギリギリ10:00に塩浜のクロースタジオに到着する。
スタジオに入ると、既にスタンバイはできており、すぐにでも始められるような状態だった。僕はキュー出し席に座り、台本を出す。準備が整ったところで音入れ開始。今回の音効さんはSPOTの塩屋さん。どの音楽、SEをとっても非の打ち所がない。さすがである。僕は基本的にSPOTの音が大好きである。誰に頼んでも基本的にはずれることがない。特に塩屋さんぐらいのレベルになると、はずれどころか、こちらの意図通りの音を作ってきてくれる。
音入れが終了したのは11:00ごろ。ナレーション収録までかなり時間があまってしまったので、先に整音をしてもらう。11:50ごろ、昼食の出前が届いたので、ひとまず作業を中断して食事にする。
食後、しばらくのんびりしていると、12:40ごろ、プロデューサーの橋本さんがスタジオに入ってきた。ほぼ時を同じくしてナレーターの村山明さんが到着。それに遅れること10分、うちの部の次長、阿部さんとクライアントの2人がスタジオに入ってきた。まず最初に、これまでの段階でナレーションの直しがないかクライアントに確認。特にないようだったので、さっそく収録を開始する。
ナレーションは全体を5つのブロックに区切り、それぞれリハーサル、本番の順番で進めていく。各リハーサルごとに、クライアントに何か気になるところはないか聞いていく。何かあった場合、それを吟味し、文章を考え直してナレーターに伝える。
ナレーションはそんなに多くなかったので、14:15ごろには全ての収録が終了する。ここで1回、全体を通してプレイバックしてみることにする。全てを見終わった後、クライアントが1箇所気になるところがあると言っていたので、その箇所を見直してみる。すると、その前の段階でフリップに貼り付けたはずのマグネットが、次のカットではなくなっていた。これは撮影するとき、台本の進行具合を考えて、マグネットを張った状態にしておかなければならなかったのに、僕はそれに気づかなかった。ADの斉藤さんに、クロースタジオの営業に連絡して、生カメでフリップを撮り直せるかどうか確認してもらう。すると、それは可能で、かつ編集室もちょっとだけ空いているということだったので、急いで斉藤さんにフリップを取りに帰ってもらう。
フリップが届くまで、スタジオでは整音、ミックスの作業を続ける。そして、フリップの撮影は済んでいないのだが、とりあえず「もどし」を始めてしまう。作業の途中で、斉藤さんがフリップを持って帰ってきたので、今のうちに生カメのところに持っていき、セットしておいてもらうようお願いする。「もどし」が終わると、僕はすぐに生カメのところに行き、フリップの上に貼り付けられたマグネットの状態を確認する。細かい部分を微調整し、撮影してもらう。撮影が終わるとすぐに編集室に移動し、間違った映像と新しいものを差し替える。
最後の最後にちょっとした波乱があったが、これでなんとか完成。感無量である。BETACAMとVHSにコピーしてもらい、ようやくクロースタジオをあとにする。会社に戻ると、素材のテープ、ワークテープ、資料などを一気に片づけ、昨日、阿部さんから任された企画書の資料を読み始める。
19:00ごろ、先輩の松井さんと明日の編集についての打ち合わせを始める。というのも、明日は遠藤さんがディレクターをやっている万有製薬のビデオの編集が行われるのだが、松井さんは他の作品のロケのため、編集に行くことができない。そのため僕が代理で行くことになったのである。必要な資料、テープ、エディットシートなどをもらい、注意点の説明を受ける。
今日はなんだかしらないが、信じられないぐらい体が疲れていた。そのため、20:30ごろ企画書の資料を読むのをあきらめる。急いで荷物をまとめて20:40ごろ会社を出る。