激しいスケジュール2

 なぜかはわからないが、ふと目が覚めた。寝袋の周りに目覚ましを3つセットしているうちの1つを見てみると、時計の針は11:30を指している。「?!」という感じだった。今日の出発は8:20。「遅刻だ!」。そう思い、一気に寝袋から飛び出す。すると徹夜で仕事をしていた先輩の大津さんから「何してるの?まだ5時だよ」と言われた。落ち着いて周りの時計を見てみたら、どの時計もまだ5:00を指していた。不思議な気持ちのまま寝袋の横の時計を見てみると、時計が11:30を指したまま止まっていた。その瞬間、腹の底から怒りとも悲しみともつかない感情がわき上がってきた。しかしそれはすぐに消え、再び寝袋の中に入って眠った。
 7:00ごろ、今度は本当に7:00ごろ、目覚まし時計の音で目が覚める。寝袋を片づけ、今日のロケの準備を始める。8:20ごろ、ロケ車でハウススタジオに出発。今日は午前中、ハウススタジオで出社前のシーンを撮影する。役者、メイク、スタイリスト、スポンサー、監修者、プロデューサーはスタジオに直行である。僕らがスタジオに到着すると、既に役者が1人来ていた。すぐにスタジオの中に入り、撮影の準備を始める。その間、役者は衣装を身にまとい、メイクをしておいてもらう。ちなみにハウススタジオとは、室内のシーンなどを撮影するためのスタジオである。外見上は普通の家と全く同じなのだが、家主が撮影用にスタジオとしているのである。ドラマなどで室内のシーンを撮影するときは、だいたいこういうハウススタジオを使用する。
 8:45ごろから撮影準備を始め、10:00ごろには準備が整う。まずは新入社員役の女性から撮影を始める。ハイピッチで撮影を進め、11:00にはだいたいの撮影が終了する。続いて入社5年目の社員役の男性の撮影を始める。こちらもハイピッチで進めたため12:00には撮影が終わる。その後、いくつか細かい撮影をしていき、13:30にはハウススタジオでの撮影は全て終了。すぐに会社に移動する。メイク、スタイリストは自分の車で、撮影スタッフと役者はロケ車で移動。僕とディレクターの野々上さんは車に乗りきれなかったため、タクシーで移動する。
 会社に着くと、まずは昼食。全員に弁当とお茶を配る。僕は相変わらずすごい勢いで食事を済ませ、午後の撮影の準備を始める。午後からは僕らが普段使っているフロアのロッカーを使い、新入社員と入社5年目の社員のロッカーの中身を紹介するシーンを撮影する。照明の準備を整え、14:30ごろから撮影開始。まずは新入社員役の女性から撮影を始める。続いて入社5年目の社員役の男性の撮影を行う。このシーンの撮影が終わったところで、今度はオフィスでの会話シーンを撮影する。昨日使ったオフィスに再び照明機材などのセッティングしていき、18:00ごろに準備が整う。役者を呼んで撮影を進めていく。途中、20:00ごろに夕食タイムをはさみ、ひたすら撮影を続ける。22:30ごろ、ようやくオフィスのシーンの撮影が終わる。
 今度は会議室を使い、役者の服装、髪型などを細かく撮影していく。男性、女性ともに様々な衣装、髪型をしてもらい、それぞれについて細かく撮影していく。メイクや着替えに時間がかかるため、スピーディに進めていくことはできなかった。1:00ごろにようやく役者がらみの撮影が終了。役者と監修者にタクシー代を渡し、帰ってもらう。
 これからは僕が撮影されることになっている。今回、役者に身だしなみが整っている男女として出演してもらったのだが、僕は「身だしなみが整っていない男性」の例として出演しなければならないのである。自前のスーツと靴(どちらもかなりくたびれている)に着替える。着替え終わると、みんなが僕にウェザリングを加えていく。ワイシャツに染みを作り、スーツのボタンを切って、今にもとれそうな状態にし、ポケットにティッシュを詰め込んでふくらませ、胸ポケットにはペンをたくさん差し込む。その後、メイクさんが僕にいかにも不健康そうなメイクを施していく。目の下にクマを作り、髪の毛にオイルを塗って、いかにも脂ぎっているような雰囲気を出し、さらにコテで寝癖を作り出す。仕上げに爪の間にクリーム状のものを詰め、爪が汚れている様子を出す。ちなみに僕はこの日の撮影のため、5日間ヒゲを剃っていない。1:30ごろ、僕の準備が整う。とりあえずものすごくめちゃくちゃな状態にされた。その状態のまま撮影が始まる。みんな疲れているので、ものすごくスピーディに撮影が進んでいく。
 2:30ごろ、ようやく撮影が終了。といっても、まだ予定していた資料撮影(洋服や靴の撮影)がまだ済んでいなかったのだが、それは明日改めて行うことにした。全員で一気に撤収していく。3:00ごろ、ほぼ片づけは終了。スタイリスト、メイク、スポンサー、プロデューサーは帰っていった。技術スタッフは機材の片づけを済ませ、6階のフロアに移動していった。僕は撮影で使用した全ての場所をまわり、全てを元の状態に戻していく。会議室のパソコンの配線を元に戻し、応接室や打ち合わせスペースのテーブルの汚れを拭き取る。忘れ物がないか、ゴミが落ちていないか全て確認していく。片づけが終わったのは4:30すぎだった。片づけが終わると、今度はゴミの始末。この2日間にものすごい量のゴミがたまったので、それらを全て分類し、それぞれゴミ袋につめていく。その後大量にたまった洗い物を処理し、ゴミ袋を一カ所に集め、明日全て回収してもらえるように手配する。そんななんやかやが全て終わったのは5:30だった。
 とりあえず全ての片づけが終わったところで、一旦タクシーで帰る。シャワーを浴びてスッキリしたところで、一睡もしないままタクシーで会社に戻る。


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