オープニングとエンディングは両方合わせて2分ぐらい。しかし、この2カ所は、当然のことながら作品の一番最初と最後なので、それなりにインパクトのある映像が求められる。手元にある資料映像をひたすら確認していき、それを全体のどこに配置するかかなりの時間をかけて考えていく。
10:00ごろ、僕にADとしてついてくれている斉藤さんが会社に現れた。しかし僕はまだ編集を終えていなかったので、適当に休んでてもらう。その間僕はひたすら映像を選び、つないでいく。全てを繋ぎ終わったのは12:00ごろだった。今日はうちの部の次長、阿部さんが会社に来てくれ、僕がつないだ映像をチェックしてくれる。おととい確認したところ、今日は13:00から14:00ごろに来るとのことだった。そこで、このちょっと空いた時間を睡眠にあてることにした。
よくよく考えてみたら、結局昨日から完徹で作業してしまった。僕は基本的に完徹はしないようにしているのだが、今回ばかりは完徹しなければどうしようもないといった状態だった。12:30ごろ、会議室の入り口付近の床に、直接横になる。その瞬間、ものすごい勢いで睡魔が襲ってきて、そのまま気絶するように寝入ってしまった。
誰かが呼ぶような声で目が覚める。目を開けてみると、目の前にADの斉藤さんが立っていた。「阿部さんが来ましたよ」とのことだった。すぐに体を起こし、時計の方に目をやる。時計の針は14:45を指していた。2時間ちょっと眠れたようだった。これだけ眠れれば十分である。すぐにトイレに行き、歯と顔と目と手を洗って眠気を吹き飛ばす。そして阿部さんのところに行き、オフライン編集室に来てもらう。
準備ができたところで、いよいよテープを再生。映像を見ながら、阿部さんが適宜アドバイスをしてくれる。途中でテープを止め、所々チェックを入れられる。そういう感じでプレビューは続いていく。16:00ごろ、ようやくプレビューが終了。思ったよりも指摘された点は多くなかったが、少なくとも今日も会社に泊まらなければならないことだけはハッキリした。明日はクライアントのところに行って、仮編集試写を行う。そのために、今日阿部さんから指摘された点を、明日までに全て直しておかなければならないのである。
プレビューが終わると、ひとまず自分の机に戻り、台本に修正を加えていく。そして、必要なテロップを全て台本に書き込んでいく。台本が完成すると、プリントアウトしてADの斉藤さんに渡す。そして、試写用のテロップリストを作り始めてもらう。その間、僕は明日の試写用のテープに入れ込む、テロップを作り始める。本編中にはテロップを入れないが、数カ所、テロップをフルフレームのベースに配置する部分がある。その部分は実際にベースとテロップを作りこんでテープに入れなければならない。
普通、オフライン編集ではテロップを入れない。その代わり、テロップ原稿というものを用意し、テープの再生中に「ここで○○というテロップが入ります」と言っていく。AVIDのようなノンリニアで編集をしているのなら話は別だが、普通のVHSリニア編集で、そこまですることは少ない。ではなぜこういうことをするのか。おそらくテレビ番組ではオフライン編集にテロップを入れたりしないだろう。というのも、テレビ番組では、オフライン編集の試写の相手はテレビ局のプロデューサーだからである。局Pは映像についてちゃんとわかっている人なので、テロップなしのテープを送っても、ちゃんと理解してくれるのである。ところが僕がやっているのは企業の社内向けビデオである。試写の相手は企業の担当者になる。つまり、映像の素人に見せなければならないため、テロップなしの状態では、いくら「この部分で、画面全体をベースで埋め、テロップをリストのように配置します」と言っても、先方にとってはイメージがわきにくいのである。そのため、できる限り本物に近い状態にして試写を行った方が、クライアントに対してより親切なのである。とは言っても、うちの部で作るVP全て、今回のようにテロップを入れるかと言うと、実際のところ入れないものの方が大多数である。これは僕がパソコン、映像機器の操作に長けているということが阿部さんにバレていることが原因だと思われる。
何はともあれ、テロップを作らなければならない。昔、Photoshopで作ったテロップベースをIllustratorで開き、レイヤー別にテロップを配置していく。その画像をJPEGで保存し、メモリースティックに入れてデジタルハンディカムに差し込む。普通ならこれで、写真がハンディカムのモニタに映し出されるはずなのだが、今日は何故かどうやっても出てこない。同じように、サイバーショットにメモリースティックを入れてみても、画像が表示されない。それどころか「ファイルエラー」なんていう表示が出る。パソコン側では普通に開くのに、なぜかハンディカムやサイバーショットでは開けない。かなり意味不明だったが、できないならできないで仕方がない。静止画をビデオに直接出力するのはあきらめ、一旦動画を作成し、それをビデオテープに収録することにした。できあがったJPEGファイルを全てMedia Studio Pro(ノンリニア映像編集ソフト)に入れ込み、それぞれデュレーションを10秒ずつとってタイムラインウインドウに配置していく。配置し終わったところで、レンダリングを始める。
レンダリングを待っている間、一旦外出して夕食を買ってくることにした。この段階で時刻は0:00。まだオフライン編集には全く手をつけていない。というのも、夕方からこの時間まで、それなりにかなり慌ただしかったのである。ビデオに入れ込むテロップを作る作業と並行して、ADの斉藤さんが作るテロップリストのチェックもしなければならない。さらに、テレビ本部所属の後輩がロケの小道具作りの件で僕のところに相談に来て、なぜか僕がそれを手伝うハメになったりしたため、ただでさえ少ない時間がオニのような速さで過ぎていった。
ADの斉藤さんを11:30ごろ帰し、残りの作業は明日やってもらうことにした。0:00ごろ、近くのセブンイレブンで夕食を買い込み、会社に戻る。パソコン画面を見てみると、既にレンダリングは終わっていた。そこで、食事をしながらパソコンとハンディカムを繋ぎ、映像をDVに取り込む作業に取りかかる。ところがここでもトラブルが発生。ソフトのデバイスコントロールの調子が悪く、映像をDVに落としこめないのである。何度やっても無理だったので、ファイルを一旦QuickTimeムービー形式に変換し、そのファイルをPower Macintosh G3に移す。そこからEdit DVで出力しようと試みる。ところがここでもうまい具合に映像を出力できなかった。マーフィーの法則「普段調子のよい機械は、急いでいるときに限って調子が悪くなる」というのを思い出しつつ、ありとあらゆる方法を試みる。結局どうにもならなかったので、ひとまず自分の机に戻る。そして全ての機器の電源を一旦切り、再起動する。そしてもう一度同じ事をやってみると、不思議なことに何の支障もなくソフトからのデバイスコントロールが機能し始めた。原因がさっぱりわからなかったが、とりあえず今はうまくいっただけでもよしとしなければならない。何と言ったって、この作業が終わったころ、時刻は既に1:30だったのである。まだ映像には全く手をつけていない。果たして明日(既に今日)の試写には間に合うのだろうか?かなり憂鬱な気分になる。
目標を6:00に設定し、いよいよ映像の修正に取りかかる。まずはナレーションをもう一度吹き込み直す。そして、まずは本編の修正作業から取りかかる。オープニングとエンディングは時間がかかるので、簡単に終わるところから作業を始めることにした。オフライン編集機の前に座り、黙々と映像をつないでいく。しかし一向に終わりが見えない。かなり果てしない作業である。本編部分の修正作業が終わったのは7:30ごろ。これから時間がかかるであろう、オープニングとエンディング部分の修正に取りかかる。作業が終わるのはいつになるのだろうか?