クライアント試写
 土曜日から泊まり込んでやっているオフライン編集。それもいよいよ佳境に入ってきた。今日は14:00からクライアントの社内で試写を行う。そのため、それまでには必ず終わらせていなければならない。
 全く眠らないまま、ぶっ続けで編集を行い、ようやく7:30ごろに本編部分の修正が終了。これからいよいよオープニングとエンディング部分の修正に取りかかる。オープニングとエンディングは、当然のことながら作品の一番最初と最後を飾るものであるため、他の部分よりも格段にクオリティの高いものでなければならない。ここで、見ている人の興味を惹きつけなければ、気が抜けた状態のまま本編に入っていくことになる。そういう事態を避けるため、1カットずつ、ものすごく真剣に悩みながら映像をつないでいく。
 全てが完成したのは10:30だった。フラフラになりながらオフライン編集機のまわりに散乱したテープを片づける。その後、自分の机に戻って、試写用のナレーション原稿を作成する。それと同時に、ADの斉藤さんに作ってもらったテロップリストをチェックする。細かい間違いを修正し、今日持っていく資料が全部揃ったところで、とりあえず仮眠を取ることにした。
 11:15ごろ、自分の机にうつぶせになって眠る。12:30ごろまで、そのままの状態で眠り続けていたのだが、どうも寝づらかったので、場所を移動して喫煙室のイスで眠ることにした。喫煙室のイスは意外と快適で、テーブルにうつぶせになったまま熟睡してしまった。目が覚めたのは1:15ごろだった。試写は14:00からなので、これから準備を始めてちょうどいいぐらいの時間だった。とりあえずトイレに入り、顔と歯と目と手を洗う。スッキリしたところで、試写に持っていく資料の最終確認。ナレーション原稿とテロップ原稿、そしてビデオテープとそのコピー(予備用)。全て準備が整ったところで時刻は13:40ごろになっていた。荷物を持ち、プロデューサーの橋本さん、うちの部の次長、阿部さんと3人で会社を出る。
 クライアントの大同生命は、永代通と中央通の交差点から茅場町方面に歩いてすぐの場所にある。そのため、僕らはいつも歩いてクライアントのところに行っている。当然今日も歩いて行く。
 大同生命に着いたのは13:55ごろだった。ちょうどよい時間だったので、そのままクライアントが入っているフロアまで上がる。そして、入口で担当者を呼ぶ。すると、担当者とは違う、初めて会う女性が出てきて、僕らを試写を行う部屋まで案内してくれた。試写を行う部屋は、大学の小教室ぐらいの広さがあった。一番奥にテレビとビデオがあり、その手前にテーブルとイスがかなりの量、ならんでいた。
 担当者は既に部屋に来ており、資料の準備をしていた。僕らはテレビの横の、ちょうどクライアントのみなさんと対面する形で配置されたテーブルに案内された。まずはテープを取り出し、音声がちゃんと出るかどうか確認する。ちゃんと音が出ることが確認できたところで、ナレーション原稿とテロップ原稿を担当者に手渡す。
 14:15ごろ、いよいよ試写開始。部屋には30人ぐらいの人がいた。こんなに大勢の前で試写をするのは初めてだったので、もしかしたら試写後に「ああしろ」「こうしろ」といった要望がガンガン出てくるんじゃないかとドキドキした。とりあえず、みんなが部屋に揃ったところで、僕の方からちょっとした注意事項を連絡する。そしてビデオテープを再生する。再生している途中、テロップが出てくるタイミングで、僕が「ここで3番のテロップが出ます」といった感じで、逐一タイミングを言っていく。ビデオの再生が終わったところで、僕から「今ので23分27秒です。何か気づいた方はいらっしゃいますでしょうか?」と質問を受け付ける。すると、何人かが手を挙げ、疑問に思ったことを質問してきたが、人数の割には質問はすごく少なかった。15:00ごろ、試写は無事完了。みんなが部屋から出ていった後で、担当者と直接話をする。なんでも、今日これからみんなに質問はないか聞いていき、その結果を明日メールで知らせてくれるということだった。ただ、今日質問が少なかったのは明日まで時間があるからではなく、実は担当者が部の全員に対し、構成案、台本の段階でほぼ全ての意見を集約して僕のところに持ってきてくれていた。僕もそれに沿って撮影、編集を行うことができた。結果として、クライアントが意図するところをしっかり反映したものになったため、今日はほとんど意見が出なかったようだった。
 帰り際、担当者に予備で持って来たテープを渡し、今後の打ち合わせをちょこちょこっと済ませ、僕らはクライアントのビルを出る。帰りは眠いながらも晴れ晴れとした気分だった。
 会社に戻ってから、フリップの追加撮影の準備(これだけは修正しなければならなかった)、本編集の準備を始める。テロップも発注用に、最終チェックを始める。しかし、試写が終わったことでかなり安心してしまったのか、土曜日から泊まりがけで作業をしてきた疲れがドッと出てきた。18:30ごろ、そのとき僕は机に座ってCGの修正部分をチェックしていた。しかし次の瞬間、ふと気づくと時計の針20:00を指していた。あたりを見渡してみると、もう既にほとんど誰もいない状態だった。机の上を見ると、メモが置いてあった。ADの斉藤さんからのメモだった。メモには「お疲れさまでした。テロップの原稿は…(省略)。今日はゆっくり休んでください。」と書かれいた。どうも、僕を起こしにくかったらしく、メモを残して帰ってしまったようだった。ちょっと悪いことをしたなと思いつつ、僕自身ですら寝たことに気づいてなかったので仕方がないかもしれないと思ってみたりした。
 とりあえず急いでCGの修正部分をメールでまとめ、CGの業者に送信する。20:30ごろ、一通りの作業を終え、会社を出る。