3/4にやられる
 目が覚めたら時刻は既に11:30になっていた。開き直ってのんびり身仕度を整え、のんびり会社に向かう。会社に着いたのは12:30ごろだった。
 ここ最近、何かがおかしい。いや、別に特段変なことはないのだが、なぜか「ヒマ」なのである。去年の年末の様子だと、今年は年明けいきなりから、かなり慌ただしくなってくるような感じだった。ところが年が明けたみたら、これが意外とヒマだったりして、少しばかり戸惑っている。とは言いつつも、来週からロケが始まるので、いずれにしてもこのヒマな時間は今だけなのは確かである。
 そういうわけで、今日は日機連のロケ関係のところに何件が電話を入れる。やることを一通り終えてしまってのんびりしてるところに、いきなりプロデューサーの戸井田さんが声をかけてきた。なんでも、11月に戸井田さんがロケに行った海水揚水発電所の収録フィルムを編集して、3分の1ぐらいにまとめなければならないらしい。その役が僕まわってきた。一瞬、ポジ編(注1)をやらされるのかと思ったが、当然のことながらそんなことはなかった。収録フィルムはちゃんとテレシネ(注2)されているらしく、それを編集すればよいとのことだった。期限は今月末。とは言っても、来週からは慌ただしい日々に突入するため、できれば来週半ばまでに終わらせてしまいたい。とりあえず戸井田さんからテレシネしたBETACAMをもらい、映像の内容を全てチェックする。
 チェックが終わったところで、阿部さんが突然話しかけてきた。「お願いがある」と言われた。こういうとき、この「お願い」に対して僕は拒否権を持ち得ない。やらざるを得ないのである。何をやるのか聞いてみた。すると「ここにある3/4(注3)のテープ3本の中から、おもちゃ工場の映像を抜き出してVHSにコピーしてくれ」とのことだった。これまたやっかいである。というのも、うちの会社には3/4デッキがもう1台しかない。しかもそれはしばらく使われていないため、使えるかどうかもあやしい。とりあえずテープを持って、デッキを置いてあるプレゼンテーションルームに行く。
 デッキにテープを入れると、3/4特有の激しい機械音が聞こえてきた。再生してみると、映像が激しく乱れている。おそらくこれはデッキのせいだろう。もうかなり古いデッキなので、まともに映像が出なくなってしまったのだろうと予想がついた。仕方がないので社内での作業はあきらめ、子会社のところにあるデッキを使わせてもらおうと思い、イジェクトボタンを押してテープを取り出そうと試みる。ところが、ここで悲劇が起こった。テープがデッキから出てこないのである。僕はかなりあせり、イジェクトボタンをゆっくり押したり、早く押したりと、緩急をつけてイジェクトを試みた。30分ほど苦戦しながらイジェクトを試みたが、テープが出てくる気配は全くなかった。阿部さんのところに行き、事情を説明してみた。すると「それはデッキを分解するしかないな」と言われた。めんどくさいことになってきた。デッキを分解するのはよいが、3/4デッキはものすごく重い。これをラックから抜き出して分解して、また元に戻さないといけないのである。なんて言ってみても、結局はやらざるを得ないので、仕方なくドライバーを持って3/4デッキのところに戻る。すると不思議なことにテープが出てきていた。今まで何度やっても出てこなかったのに、突然テープが出てきていたのである。なんとなく、3/4デッキにおちょくられているような感じは否めなかったが、とりあえず出てきただけでもよしとするしかない。
 今度はテープを持って子会社のオフィスに行く。ここでデッキにテープを入れ、再生してみると非常にきれいな画像が出てきた。やはりさっきのはデッキがいかれていたに違いない。そう思いながら、おもちゃ工場の映像を探していく。そして、該当する部分になったら、VHSにコピーしていく。コピーしたテープを持って会社に戻り、阿部さんに渡す。
 その後諸々の雑務を済ませ、19:30ごろ荷物をまとめて会社を出る。

注1【ポジ編】ポジフィルムを直接切ったり貼り付けたりしながら行う編集方法
注2【テレシネ】フィルムからビデオテープにコピーすること
注3【3/4】幅が3/4インチのビデオテープ 一昔前の業務用収録テープ