不思議なことに、昨夜から寝ようと思っても全く寝付けなかった。仕方ないので眠るのをあきらめ6:00ごろ部屋を出る。会社に着いたのは6:40ごろだった。とりあえずノートパソコンを鞄から取り出し、自分の机にセットする。そうこうしているうちに、急激な眠気が襲いかかってきた。
今日はなぜこんなに早く会社に来ているのか、普段のようにのんびり昼ごろ出勤するわけにはいかないのかと思うかもしれないが、これには理由があるのである。というのも、実は今日、先輩の阿部さんがやっている作品で、とある資料映像を使用する。過去にやった作品の白マザーを素材として使用するのだが、昨日の段階で、僕がその素材を出しておくよう阿部さんから言われたのである。ということは、今朝一番で倉庫の中に入っているテープを取り出さなければならない。そういうわけで、今日はいつものようにアバウトな時間に出勤するわけにはいかないのである。
ただ、眠いものは眠い。さすがにわけもわからず完徹するわけにはいかないので、机のうつぶせになって少し睡眠をとる。目が覚めたのは9:30。気がついたら知らないうちに会社のフロアの床に寝ていた。おそらくイスに座ったままだと寝苦しかったのだろう。しかし、床に寝た記憶はない。人の記憶とはあやしいものだ。
とりあえず、すぐに倉庫担当の横井さんのところに行き、目当ての白マザーを出してもらうべく、一緒に倉庫に行く。目星をつけていたダンボールを明けてみると、目当てのテープは入っていなかった。どうしたことだ?と思ったが、思ったところでどうにもならないので、一度会社に戻り、横井さんにあらためて検索をかけてもらうことにした。その結果、疑わしいと思われる箱が2つひっかかった。そこで再び倉庫に行き、疑わしい箱を開けてみる。すると、そのうち1つには収録マザーのBETACAMが入っていた。ところがその箱の中には白マザーは入っていなかった。ならばもう1つか?と思い、箱を開けてみたら、こちらの箱には全く違うものが入っていた。どうしようか悩んだ結果、先輩の阿部さんに電話をかけて判断を仰ぐことにした。その結果、収録マザーの中から「大工が作業をしている映像」を探し出し、それを編集スタジオまで持ってきてほしいとのことだった。「うわ!めんどくさ!」と思ったが、急がないと阿部さんの作業が始まってしまうため、箱を持って会社に戻り、その当時のエディットシートとカット表を見ながら目当ての映像を探し出す。目当ての映像が入っているBETACAMを鞄に入れ、急いで会社を出る。タクシーに乗り、塩浜にあるクロースタジオに向かう。スタジオに着くとすぐに7階にあるスタジオにいる阿部さんのところに行き、テープを渡す。
これでとりあえずは一安心。すみやかに会社に戻る。これからは日機連の作業を始める。明後日からいよいよロケが始まる。そのロケの撮影スケジュールを作り始める。今回僕は一度もロケハンに行っていない。そのため、どこの行程でどのぐらいの時間がかかるか全く想像がつかない。そんなスケジュール作成が難航する中、なんとか勘を頼りに作り上げる。
16:30ごろ、後輩の秋山さんから頼まれて代々木公園にある東京衣装に向かう。秋山さんは今僕とは違う作品を担当しているのだが、その作品のロケがここ数日続いている。今日もロケが行われいるのだが、明日のロケで使用する衣装をとりに行かなければならないとのことだった。ところが秋山さんは現場から離れることができないため、代わりに僕が取りに行くことになったのである。千代田線代々木公園で地下鉄を降り、ちょっと歩いたところにある東京衣装に行く。東京衣装の中では数人が作業をしており、オフィスにはところ狭しと不思議な形状の衣装が並べられていた。僕が会社名と名前を告げると、すぐに用意してくれていた衣装を見せてくれる。一通り確認が済んだところで衣装をまとめてもらう。紙袋に入れてもらった衣装を持って東京衣装をあとにする。
会社に戻ってからは、再び日機連の作業に戻る。明後日からのロケスケジュールは完成していたので、次は来週の月曜から木曜まで連続で行われるロケのスケジュールを作り始める。作り始めてみると、これまたロケハンに行っていないため撮影時間の目星がつかない。しかたがないので、やはり勘で撮影項目を書き込んでいく。
20:00ごろ、気分転換の意味も込め、ロケで使用する道具の準備を始める。ジュラルミンのケースに必要な道具をどんどん詰めていく。20:30ごろ、ロケ道具の準備があらかた終わったところで、今日の作業はひとまず中断して帰り自宅を始める。明日に少しだけ課題を残しつつ、荷物をまとめてすみやかに会社を出る。
冷静に考えたら今日は僕の誕生日。一昨年の誕生日、僕は風邪をひいてしまい、自室でひたすら寝込んでいた。去年の誕生日は会社で事務作業をしていた。そして今年の誕生日は、例年とたいして違うところもなく、何気なく日々の仕事をこなしていた。今日で僕は25歳、いよいよ20代後半に足を踏み入れてしまった。胸に去来する・・・ものは何もなく、何気なく日々の仕事が続いていく。日常の一部として、25回目の誕生日が僕の前を通過していった。