4-09 ディレクターにならず、ずっとADでいることはできますか?
ずっとアシスタントをやり続けるというようなスタイルは、アメリカでは一般的です。アメリカでは映像関係の職業は専門性が高く、カメラマンは最初からずーっとカメラマン。カメラアシスタントはずーっとカメラアシスタントというように、各仕事は次に進むためのステップではなく、それぞれの仕事が専門職として確立しています。

ですが、日本ではその考えは少数派です。基本的にカメラアシスタントがカメラマンを目指すように、アシスタントディレクターはディレクターを目指します。当然のことながら、ディレクターや先輩ADは新人ADが、将来的にディレクターとして独り立ちできるように教育していきます。

ただ、単純なアシスタントではないのですが、制作現場を陰からサポートする職種は存在します。

【制作進行】
バラエティ番組や情報番組では、この仕事をADがこなすことも多いのですが、ドラマ、映画、もしくは番組によっては専業の制作進行がついています。仕事内容は、撮影場所の許可関係処理、スタッフの動き、役割分担、食事、宿泊先の手配など、実際に撮影現場の演出にからまない部分ではあるけれども、制作過程で必ずクリアしなければならないような作業を担当しています。ちなみに、撮影に直接関わるような、美術品の手配、撮影現場のセッティングなど、ディレクターの意図に沿った演出を具体的に実現させる作業を行う人のことを「演出助手」と言います。一般的に演出助手は演出になることを目指し、その下積みとして助手をしています。バラエティ番組や情報番組では、制作進行と演出助手の作業をまとめてアシスタントディレクターがこなしていることが多いです。

余談ですが、ディレクターというのはテレビでよく使われる用語で、これが映画の場合「監督」となります。ドラマの場合「監督」「演出」などになります。ドキュメンタリーでも「演出」となっているのを時々見ます。その他のジャンルでは「ディレクター」が一般的です。ADについては映画では「助監督」「演出補」「進行補」、ドラマでは「助監督」「演出助手」、その他のジャンルでは「AD」「アシスタントディレクター」です。ただ、これら呼び名は作品によってマチマチですので、あくまでも一般例です。

【アシスタントプロデューサー】
名前だけ聞くと、プロデューサーの助手のように見えますが、れっきとした専門職です。もちろん人によってはプロデューサーの前段階としてAPをやっている人もいますし、むしろそういう人も多いのですが、これを専門職としている人も存在します。作業内容はタレント関係のキャスティング、スケジュールの確認、現場でのケア、制作予算の具体的な管理、そして制作会社が複数にまたがるような場合には、各社との橋渡し役としてスタッフ、時間、予算的な面で具体的な折衝を行います。特に対タレントプロダクションに関しては、アシスタントプロデューサーがどれだけ多くのチャネルを持っているかが大きなポイントです。より多くのタレントプロダクション、マネージャーと顔見知りであるということは、番組の出演者のクオリティに直結します。

【制作デスク】
領収書・請求書の処理、契約書・見積書などの作成、備品の手配など、制作過程で必ず発生する事務処理が主な仕事です。制作スタッフの状況を適宜、正確に把握し、制作現場に直接関わらない事務処理を担当します。予算、スタッフの少ない番組の場合はADがこれらの仕事の一部をこなすことも多々あります。

他にも幾つかありますが、一般的には上記のようなものになります。ただ、上記の職業はあくまでもプロフェッショナルの専門職であり、単純なアシスタントではありません。もし自分に降りかかってくる責任をできるだけ少なくし長くテレビ業界に居続けたいだけであるならば、この業界には入ってこない方がよいです。