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2012年4月30日

二眼レフカメラYashicaFlexのミラーを交換

手持ちの二眼レフカメラ「YashicaFlex」のミラー交換にチャレンジ。

そもそも古い二眼レフカメラはビューレンズ奥のミラーが腐食、劣化して反射率が落ちているものが多いらしい。反射率が落ちると光量が減衰してしまうので、結果としてファインダー像が暗くなってしまう。ファインダーが暗いとピント合わせがやりづらくなり、結果としてピンボケ写真が多発してしまう可能性がある。仮にレンズなどの光学系がキレイであり、撮影した写真のクオリティがとても高かったとしてもピンボケだらけになってしまうのはいただけない。ということで明るいファインダー像を確保するためにもミラーの交換に挑戦。

【写真1】YashicaFlex MODEL C

これがレンズ腐食ぎみのYashicaFlex。ひとくちにYashicaFlexと言っても発売時期によって様々な世代があるが、これはMODEL Cという1955年に発売されたもの。

この個体は今年の3月上旬、たまたまヤフオクで発見したもの。この時期、突発的に二眼レフに興味を持ち始めてしまい、ローライフレックスやらローライコードあたりの超メジャーどころを物色しつつも値段が高すぎて断念。ということで国産二眼レフに興味の対象が移っていった。そんな中でこの個体を発見。元箱、専用革ケースつきだけど、メンテナンスなし、動作未確認という謎な状態。写真を見るとそれほど問題がなさそうだったので入札してみたらすんなり落札。落札金額は4,950円。

到着して本体をチェックしてみたら、外観こそ多少の汚れはあれど動作は全く問題なし。ただしファインダーがビックリするぐらい暗い。二眼レフカメラを使うのはこの時が初めてなので、これがそもそもデフォルトなのか何か問題があるのか判断がつかない。ということでネットで「二眼レフ ファインダー 暗い」などのキーワードで検索してみたら「そもそも二眼レフのファインダーは暗い」的な書き込みを多々発見。そういうものかと思い、さらにサイトを見ていくと、ミラーを交換することでファインダーを明るくする方法を公開している方を発見。

古い二眼レフの表面鏡を入れかえる - 素人寫眞機修理工房

なるほど!これは確かに効果がありそうだ!と思い、実際自分でもやってみることに。

ミラーの交換ということなので、まずはミラーを手に入れる必要がある。カメラに使われる鏡は「表面鏡」というもので、洗面台などで使われる裏面鏡とは違うもの。表面鏡と裏面鏡の違いは以下のサイトがわかりやすい。

表面鏡と裏面鏡の違い - 鏡ファクトリー M&Gキタデ
光のなぞ 反射鏡ってなに? - キヤノンサイエンスラボ・キッズ

ということで表面鏡は一般の鏡と違うため、そんじょそこらでは売っていない。試しに渋谷の東急ハンズに行って「表面鏡ってあります?」と効いてみたが扱っていないとのことだった。仕方ないのでハンズでは「ガラス切り」だけ買って帰る。ガラス切りの値段は約1,200円。

【写真2】渋谷の東急ハンズで買った「ガラス切り」

ガラス切りを買ったはいいが、肝心の鏡がない。東急ハンズにないとのことだったので、ネットで探すことに。Yahoo!ショッピングで検索してみたら、なんとヒットしない!ならばレアものが揃うヤフオクならばどうだ!と思い探してみても、ヤフオクですら見つからない。そういえば前述のサイト「古い二眼レフの表面鏡を入れかえる」で表面鏡を購入したサイトを紹介していたのを思い出し見直してみる。

万華鏡専門店 Little Bear
万華鏡専門店 カレイドスコープ昔館

今回私が注文したのはLittle Bearさんの「ガラス表面鏡 1枚 200mm×230mm、厚み1mm」という商品。表面鏡はプラスチック製とガラス製があるようだが、元々のミラーがガラス製なので同じ方がよかろうと思いガラス製ミラーを選択。値段は1,890円。

【写真3】Little Bearから届いた「表面鏡」

届いた表面鏡はけっこう大きい。多分この一枚で二眼レフカメラのミラーだったら20枚分ぐらい切り出せるんじゃないかと思われる。

ということで早速切り出すわけだが、サイズがわからないとカットできないので、まずは既存ミラーを取り出す。

【写真4】YashicaFlexのファインダー部分

二眼レフカメラのファインダーまわりはどのメーカーもだいたい同じような構造になっている。ファインダーカバーがマイナスネジで止められており、ここをはずすことでミラーが現れる。

【写真5】ファインダーカバーをはずした状態

ファインダーカバーを外すとすんなりミラーが現れる。

【写真6】取り外したミラー

写真ではそこそこキレイに反射しているように見えるが、実際はけっこう汚れがこびりついている。レンズクリーニングクロスなどで拭いてみても汚れは落ちる気配すらなく、さらに悪いことに軽く拭いただけでもすぐに拭き傷がつく。普通の鏡はガラスの奥に反射板があるので、どれだけ手荒に扱っても表面のガラスがガードしてくれるが、表面鏡はその名の通り鏡の表面が光を反射するので、言ってみれば反射板がむき出しになっている状態。むき出しの反射板は外的刺激に弱いらしい。

【写真7】取り外したミラー

取り出したミラーの各所を採寸。斜めのラインをキレイにカットできるか自信がないが、とりあえず採寸は済ます。

【写真8】定規とビニールテープ

鏡をまっすぐに切るためには定規を当てなきゃいけないわけだが、プラスチックの定規そのままだと滑ってしまって切ってる最中にズレてしまう可能性があるとのこと。

【写真9】定規に貼りつけたビニールテープ

これもどこかのサイトで見たのだが、定規にビニールテープを貼り付けておくと滑りにくくなるとのこと。ガラスカット初挑戦なので、不安要素は少しでも減らすべく、事前にできることは何でもやっておく。

【写真10】ガラスカット

準備も整ったところでいよいよカット。表面鏡には裏表があり、反射板側には薄い保護シートが貼られているので、反対側(裏側)にガラス切りを当てる。一定の角度を保ち、ためらわずに一気に切り抜くのがコツだそうだ。

うまく切れていると「ギー」という切削音が聞こえる。角度が合っていなくてうまく切れていないときは無音。ちなみに同じ場所の二度切りはご法度らしい。

【写真11】ガラスカット後

ガラス切りで一気に切れ目を入れると、あとは切削面の両面を手で持って、両側に引っ張りながらガラスを山折りに曲げる。するとパキッと小気味よい音を出してキレイに割れてくれる。

【写真12】さらにカット

切り出したガラスをさらにカット。元のガラスとピッタリのサイズの長方形を作る。

【写真13】斜めカット

最後に斜めのラインをカット。この部分が最も難易度が高かった。実際、最鋭角の部分(写真左側)がキレイに割れてくれず、ちょっとだけ切削面が残っていびつな形になっってしまった。余った部分をキレイにカットしようとペンチで挟んでいると、今度は削れすぎてちょっとだけヘコんでしまったので、微修正は諦めることにした。

【写真14】ミラー新旧比較

右が元々のミラー、左が切り出したばかりのミラー。左側の方がくすんで見えるが、これは保護カバーがついたままだから。保護カバーは最後まではずさないのがポイント。途中で剥がすとすぐにキズがつくので、剥がすのは最後の最後。

【写真15】ミラーをセットして保護カバーを剥がす

切り出したミラーをカメラにセットして保護カバーを剥がす。素手で剥がすと手の油で汚れてしまう可能性があるし、そもそもガラスの破片が手に刺さる可能性もあるので、なるべく手袋をして作業した方がよい。

保護カバーを剥がしたら、あとはファインダーカバーをかぶせてネジを締めて作業完了。



【写真16】試し撮り

ミラーの交換が完了したら試し撮りに出かけよう。ミラーの取り付け位置のミス、裏表の設置ミスなど、何かしらミスがあるとビューレンズとテイクレンズのピント位置にズレが生じる。結果、狙ったところにピントが合わないということが発生するので、うまく作業できているか確認する意味でも試し撮りをオススメ。

特に無限遠の確認は必ず行った方がよい。カメラのフォーカス位置を無限遠にセットして、はるか遠くのものを撮影してみる。上がりの写真を見てみてしっかりピントが合っていればOK。

今回の作業に要した費用はガラス切り1,200円、表面鏡1,890円。消費税や送料をもろもろ含めても総費用は4,000円以内。カメラ本体を5,000円弱で購入してミラーの交換に4,000円かけることの価値観は人によって違うかもしれないが、個人的には工程そのものを楽しめたので元は取れたと思う。

※この手のサイトのお決まりの文言「自らトライする場合は自己責任にて」

アップロード日時 : 2012年4月30日 22:24

カテゴリ [ カメラのトラブル ]

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