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2012年5月 2日

山崎光学写真レンズ研究所(1) - 訪問

旧東ドイツ、カールツァイス・イエナのFlektogon 65mm F2.8というレンズについて。このレンズはPENTACON six(またはPraktisix)という中判カメラ用に供給されたもの。他のラインナップはFlektogon 50mmやBiometar 80mm、Sonnar 180mmなど今でも評価の高いレンズが目白押し。そんな中、この65mmは早々に正規ラインナップから外れ製造停止に。ツァイス自らが目指す写りではないと判断を下しディスコンになったとか。そのためレンズの残存数は他のラインナップよりも比較的少なめ。見つけたとしてもほとんどが初期グッタペルカのモデル。

初期グッタペルカモデル - 2012年2月25日のエントリー


【写真1】Carl Zeiss Jena Flektogon 65mm F2.8(ゼブラモデル)

中でもこのゼブラ柄モデルは超レア玉で、かれこれ1年以上探しても見つからなかったもの。eBay、ヤフオク、世界各国のカメラ屋のサイトを定期的に巡回しても全く見つからない日々が続く。しかしながら今年の2月のこと。eBayでポーランドの業者がたまたまこのゼブラ柄モデルのレンズを出品した直後のタイミングに遭遇。By It Nowの固定価格出品だったので、一瞬もためらうことなく入札。

lens
【写真2】レンズ中玉のストライプ状のクモリ

かくしてレア玉が私の手元に届いたわけだが、残念のことにこのレンズにクモリが発覚。中玉にストライプ模様のクモリが出ていて、撮影するとボンヤリと白っぽくなり、光源はにじんだ感じに写る。せっかく手に入れたレア玉、このまま売ったり死蔵させるにはあまりにもったいないので、意を決して修理することに。

レンズのカビやクモリはガラス表面のコーティングに巣食って広がるものが多い。仮にカビやクモリを削りとったとしてもコーティングがやられてしまうため、元の光学性能を取り戻すことはできない。元のレベルに戻すにはレンズの研磨、コーティングの処理を施す必要がある。しかしながらここまでの作業となると、もはや技術レベルは激しく高くなり、普通のレンズ修理業者では対応できない。

ということで訪れたのは北新宿の山崎光学写真レンズ研究所。日本でほぼ唯一のレンズ再研磨、再コーティングをできる職人さんの工房。その技術力の高さはについて、ネットでは伝説的な逸話を多々目にすることができる。

Carl Zeiss Jena Flektogon (M42) 35/2.8(1st silver type) Restored! - M42 MOUNT SPIRAL
山崎光学写真レンズ研究所へ行きました。 - 龍人の独り言
山崎光学写真レンズ研究所 - 930/02 LOVELOG
匠の技 - クラカメ好きですか
レンズ研磨その後 - 物食日記

とは言え、こちらの工房はレンズの光学面のみのプロフェッショナルであり、例えばピントであるとかヘリコイドの調整などは対象外であるとのこと。そのあたりのやりとりを記載したブログが以下。

山崎光学写真レンズ研究所 - alfa75 blog

結果のクオリティが素晴らしいことは素晴らしいのだろうが、無意味に神格化すると依頼者側も無駄に期待してしまうし職人さん本人も困ってしまうと思うので、周囲の評判はそこそこに考えておくのがよいと思われる。いずれにしてもレンズの研磨、コーティングに関しては唯一無二と言っても過言ではない高度な技術を持つ工房なので、その存在価値は計り知れない。


【写真3】山崎光学写真レンズ研究所 裏口

JR大久保駅から徒歩数分、大通りから一本内側の通りに入ると、どうやらこちらは裏口だったようで表に回るように案内する看板が。


【写真4】山崎光学写真レンズ研究所 正面全景

表から見るとこんな感じ。パッと見た感じ普通の一軒家。


【写真5】山崎光学写真レンズ研究所 工房への通路

ドアベルを押してしばらくすると家の窓が開き「どうぞお入り下さい」の声が。この勝手口のようなドアを開けて、家の裏側に回るとそこが工房への入口。

案内してくださったのは中年の男性。ネットの各種書き込みを見るに、職人の息子さんだと思われる。私をイスに座らせ、そのまま作業に戻る。5分ほどのんびり待っていると工房の奥から職人の山崎さんが登場。訪問前に電話で症状を伝えていたので、挨拶もそこそこに、すぐにレンズを見始める。

山「中にクモリでしたっけ?」
私「ええ、そうなんです」

山崎さんと私は机の角をはさんで医者と患者のようなポジションで座る。デスクライトをつけてルーペでレンズの中を覗き込む。

山「あー確かにクモリがありますね」
私「なんとなく縞模様の・・・」
山「ええ、見えます。これだと写真に影響出ますね。全体的にうっすらモヤがかかったような、どこかスッキリしない感じになりますね。ボヤッとした感じというかね」
私「そうなんです。実際に撮影した写真でも点や線がボンヤリしてにじんだ感じにも見えました」
山「そうでしょうね」

クモリの原因が何であるか見極めるために、前から後ろから、いろんな角度からレンズの中を覗き込む。

山「フレクトゴンは好きですか?」
私「はい、好きです。なんか最近のレンズにはない独特な描写してくれるのが気に入ってます」
山「フレクトゴンの評価は分かれるみたいですね。最近のレンズを好きな人はシャープな描写を好むからフレクトゴンは評価高くないですが、昔っぽいふんわりした雰囲気を好む人には評価が高いですね。例えばアンジェニューとか、あのあたりとテイストが近いですよね」
山「このレンズ、いつごろ手に入れました?」
私「今年の2月ぐらいです」
山「随分キレイですね。まぁ、この時代のモノとしては、ということですがね」
私「はい、大きなキズもアタリもなく、動作も問題ないのでかなりお買い得だったと思います」
山「そうですね。まさに問題はこのクモリだけですね。」

という雑談もはさみつつ、話は結論に近づく。

山「直せることは直せると思うんですが、このクモリがどういう種類のものかレンズを開けてみないと判断できないので、レンズは一旦お預かりさせてください。一度開けて状況を見てから見積もり金額を電話でご連絡します」

そう言って連絡先の名前、電話番号を伝えてこの日は山崎さんの工房をあとにする。どのように仕上がるか、今からかなり楽しみだ。

■続き
山崎光学写真レンズ研究所(2) - 連絡 - 2012年6月6日

アップロード日時 : 2012年5月 2日 18:35

カテゴリ [ レンズのトラブル ]

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コメント

前略突然にて失礼をお許し下さい。私のデスタゴンF1.435mmのレンズを富士EX1にコンタックス用
マゥントを付け手動にて撮影を楽しんで居りました所、別に落下をさせたわけでもありませんが、急に
レンズの距離のヘリコイドが動かなくなり困っております。山崎光学さんで修理が出来ませんか
ご返事下さい。費用はお幾らでしょうか、教えて下さい

投稿者 藤井 昭作 : 2013年7月26日 19:33


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