宵闇の一番星

佐野厄除大師というと関東地方ではCMで目にすることがあるため、知名度は高いと思うのですが、いかんせんどこにあるのかサッパリわかりません。いろいろ調べてみると栃木県の佐野市にあるとのこと。栃木県の佐野市にはJR両毛線と東武佐野線の佐野駅があるのですが、どちらを使っても都内から1時間半以上かかります。あまりの遠さに尻込みしそうになったのですが、せっかく思い立ったのですが出かけることにしました。

午前中に都内を出発。天気は気持ちいいぐらいの快晴。これは絶好の写真日和だと思いつつ、ホクホクしながら出かけていきました。JR池袋駅から湘南新宿ライン・埼京線に乗車。そのまま宇都宮線に乗り入れてひたすら北上。小山駅で両毛線に乗り換えて佐野を目指します。電車が小山を出てちょっとすると、いきなり雲行きが怪しくなってきて、すぐさま窓ガラスを打ち付けるような勢いで雨が降ってきました。多少イヤな予感はしつつも、そのまま佐野を目指します。

佐野へ着いたとき、天候は微妙な気配。時折晴れ間が見えるのですが、小粒ながらも雨が降り続いているのです。よくわからない天候の中、駅から歩いて15分ほど、目的地の佐野厄除大師に到着しました。このころになると天候はさらに悪化。雨はそれほどひどくなかったものの、恐ろしい勢いで風が吹き始めたのです。境内では多くの屋台が軒を連ねていたのですが、屋台がまるごと吹き飛ばされてしまいそうな勢いで強風が吹き荒れていました。それでも写真を撮りまくっていたのですが、カメラをガッチリ固定しようとカメラを構えても、風があまりに強くしっかり固定することができません。警備員の帽子や交通整理のために設置されていたパイロンすらも風で飛ばされまくっていました。

一通り写真を撮りまくって佐野厄除大師を後にしたのですが、この後も風の猛威が止むことはありませんでした。佐野駅から両毛線で小山駅に戻り、そこから宇都宮線に乗り換えて東京へ戻ろうとしたのですが、なんと！強風のため電車が上下線ともストップしていたのです。このとき時刻は18:30。電光掲示板を見ると17:10の電車名が記されたまま。ということは1時間半近く電車は止まったまま。僕が乗った電車もいつ動き出すか全くメドが立たない様子。どうやって東京に戻ろうか途方に暮れているところ、駅のアナウンスが耳に飛び込んできました。

「宇都宮線不通のため新幹線にて振り替え輸送を行います」

小山駅と言えば新幹線の停車駅。新幹線は多少の風雨でも耐えられるように設計されているので、在来線がストップするような状況でも新幹線だったら影響なく走ることができる場合もあるらしいです。今回はまさにそのケース。アナウンスを聞き終わるや否や、急いで新幹線の改札口へと向かいました。するとそこには既に多くの人がごったがえしているじゃありませんか。まるで花火大会の後の会場最寄り駅のような様相を呈していました。列に並んで振替乗車券をもらい、新幹線ホームへ向かいます。ほどなくして新幹線がホームへ到着。宇都宮線で足止めをくらっていた人たちが一斉に乗り込んだため、車内は年末の帰省ラッシュさながらの大混雑。ギュウギュウ詰めの状態ながら、なんとか東京へ戻ってくることができました。

今日は予期せずヘビーな一日になってしまったのですが、そんな中でも多少は写真を撮影してきました。これは両毛線佐野駅のホームで電車を待っているときに撮影した「一番星」の写真です。佐野駅へ着いたとき、それまで小雨を降らしていた雲がスッキリ晴れて、西の空に夕焼けと夕闇の空が広がっていました。強風の後には空がキレイに見えるもの。今日もそんなセオリー通り、美しい夕焼け空を見ることができました。夕焼けが薄れて青みが増した空に一番星が燦然と輝く様子はとても印象的。東京では一番星どころか、そもそも星そのものをちゃんと見ることができない状態。よく考えてみたら東京で星をじっくり見た記憶もほとんどありません。そんな一番星の様子を、今日は久しぶりにちゃんと見ることができた気がします。