街角散歩

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2009年1月 5日

廃線後の貨物路線

廃線後の貨物路線

JR門司港駅の周辺を歩いていて、ある道路を横断しようとしたところ、道路の真ん中に線路が通っているのを発見しました。ふと横を見てみると、廃線となった線路がずーっと延びています。この光景、どこかで見たことがあるな・・・と思いつつ、どこで見たのか記憶の糸をたどってみたところ、思い出しました。

今から12年前の夏、大学4年生だった僕は夏休みで実家に帰省中、同じ大学で知り合った友だちと門司で会うことにしていたのです。この友だちは実家が博多にあり、ちょうど僕と同じ時期に帰省するということだったので、では地元で遊ぼう!という話になり、門司で会うことになったのです。「なぜ門司?」と微妙さを感じるかと思うのですが、一応それなりの理由があるのです。

大学時代の僕はまだ写真には目覚めておらず、当時ひたすら映像の世界にのめり込んで、ビデオカメラを使っていろんな作品を作っていました。しかし、動画も静止画も風景を「切り取る」という行為は同じもの。写真の世界にもすごく興味があったのです。かたや僕の友だちは元々写真が好きで、フィルム一眼レフカメラを持っていて、写真を撮りまくっていました。なので、地元で会おうという話をしたとき「それだったら景色のいいところに行って写真を撮らない?」という話になり、景色のいい場所ということで門司に集合ということになったのです。

このとき、ちょうど門司港レトロのブランディングが始まったころで、門司港駅周辺はノスタルジックな雰囲気に包まれ、被写体となるものがあふれていました。そのとき、ちょうど今日のこの写真に写っている線路も撮影したのです。ただ、当時と今とではひとつ違うことがあります。12年前、この線路はまだ現役で使われていて廃線にはなっていなかったのです。僕がかつて訪れてからの12年の間のどこかでこの線路が廃線になったわけですが、そもそもこの線路が何の線路で、いつ廃線になったのか気になったので調べてみました。

調べてみたところ、廃線になったのは2004年3月25日。実はつい最近のことでした。この線路は田川市の三井鉱山セメントから門司港までセメントを運搬するための専用貨物線。元々は三井三池炭坑などの炭坑から石炭を運搬するために作られた路線が、炭坑の閉鎖などによりセメント専用の路線に変わったようです。田川の平成筑豊鉄道という貨物専門の私鉄路線から出発した列車は、直方からJR筑豊本線を通り、北九州市八幡西区の折尾駅からJR鹿児島本線を通って門司港までセメントを運搬していたとのこと。確かに、かつて僕が北九州に住んでいた時代、小倉駅や戸畑駅で電車を待っていると、黒いセメント貨物貨車を連ねた貨物列車がノロノロと通り過ぎて行ったのを記憶しています。

この路線が廃線となってまもなく5年が経とうとしています。線路の表面には錆が浮かび、雑草が生い茂っている様子を見ると、とても寂しげな感じがします。そもそも記憶にあるものが廃止され消え去っていくのはとても切ないもの。これまで全く意識していなかったものでも、不思議と寂しさに似た感情がわき上がってくるものです。

アップロード日時 : 2009年1月 5日 00:31    撮影場所 : [ 福岡 ]

地図

撮影詳細情報

撮影情報
撮影場所 北九州市門司区 三井鉱山セメント専用貨物線
撮影日時 2009年1月 1日 14:01
カメラ情報
カメラ Canon EOS 5D
フォーマットサイズ 35mm
ISO感度 100
露出プログラム 絞り優先AE
露出補正 -1/3EV
露出時間 1/400秒
レンズ情報
レンズ EF24-105mm F4L IS USM
焦点距離 24mm
絞り f/4.0

コメント

廃線になってもまわりの風景を壊さずにマッチしていていい味だしてますね^^

投稿者 旅人 : 2009年1月 5日 04:47


昔ね・・・私が住んでいるところの近くにも・・・ローカル線があって・・・・・・路面電車みたいなものも走っていたような・・・・


でも、廃線になったの・・・・

ローカル線はね・・・途中まで歩きましたよ・・・・

なんか、とっても趣があって・・・・

とっても、 夏でしたので・・・・陽炎のような光景がとってもよく似合って^^


そんな感じ・・・・・・


色々な思い出が溢れてきましたよ^^


ありがとう

Xiong M Jarka with Love

投稿者 Xiong M Jarka : 2009年1月 6日 00:00


>旅人さん
この路線はもともと100年以上もこの場所を列車が走っていたと
いうことから、数年前に廃線になったとはいえ、この線路そのもの
がこの地域では風景の一つになっているのかもしれないですね。
願わくば、この線路をうまく観光資源として活用しつつ、後世に
残してほしいものです。

>Xiong M Jarkaさん
写真、気に入っていただけてとても嬉しいです。
昔は路面電車が日本中に走っていたので、多くの人たちの昔
の記憶に残っている風景に「線路」が自然と溶け込んでいて、
思い出と不可分な関係になっているんじゃないかと考えたこと
があります。だからこそ、廃線になった線路に切なさや寂しさ
といった寂寥の念を感じてしまうのかもしれませんね。

投稿者 コーヒー : 2009年1月 6日 02:14


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