街角散歩

« 夜空への彩色 | メイン | 炎天下の高層ビル群 »

2010年8月 1日

夜空に広がる閃光と轟音

このブログは「何気ない日常の世界からハッと目をひく部分だけを切り取った写真ブログ」というコンセプトのもと、毎日何かしらの写真をアップしています。逆に言うとコンセプト以外のものは一切取り扱っておらず、掲載するのも「写真」とそれに付随するちょっとした文章のみです。このテイストでブログを始めてもはや4年半になるわけですが、今回初めてこのブログに「映像」をアップしてみました。昨日訪れた浦安市納涼花火大会の様子を撮影したものです。

もともと僕はテレビの番組制作会社で7年半働いていた経験があるため、映像の世界はそれなりに勝手知ったるものではあるのですが、今の職業への転職を機に映像を扱うのをやめてしまいました。というのも、映像は元々中学生の時代から大学まで趣味として扱ってきたのですが、いざプロの仕事の世界に入ったことで、これまで趣味の延長として同じように向き合うことができなくなったのです。テレビの仕事を辞めて今の仕事を始めてからも映像を純粋に趣味として扱えない気がしたので、心機一転、趣味として写真の世界に入ることにしたというバックボーンがあります。

ではなぜ今回映像をアップしたのか。それは趣味の写真の延長として映像を撮れたからです。前回のエントリにも書きましたように浦安の花火大会は毎年訪れていて今回で5回目です。毎回同じものを撮っていると表現が似通ってしまうものです。であれば抜本的に違う表現を模索してみるのもアリかなという考えが一つ。加えて、撮影対象が花火であるというのも理由の一つです。

花火は光だけでなく、その動きや音の伝わり具合まで含めて一つの芸術です。花火を写真で表現するには連続性のある動きの中のどこかの一瞬を切り取らなければなりません。その切り取り具合如何で、見ている人に、被写体である花火の動きや音の響き、ひいては夏の夜の空気感までをも伝えられる作品に仕上げることができます。

しかしそれはそれとして、一つ気になることがあったのです。静止画としてのある一定以上のクオリティを担保した被写体を映像に納めたらどうなるのか。完成系のイメージはあったのですが、撮りたい被写体やタイミングがなく今に至っていました。そんな中で訪れた機会が今回の浦安市納涼花火大会。イメージを具現化すべくこの映像を撮影してみました。

僕がいつも写真をアップしているFlickrという写真共有サイトがあります。このサイトでは写真だけでなく映像も公開できるのですが、同じ映像を扱うYouTubeなどと比較するとその趣旨は全く違います。YouTubeは映像共有サイトであり、自分の撮影した映像を世界中の人に公開できるサービスです。一方のFlickrは写真共有サイトであり、撮影した写真を世界中の人に公開できるサービスです。Flickrのメインはあくまでも写真であり、世界中の人々の「静止画」による表現を全て集約することを目的としています。そんなFlickrが映像を扱うようになったのは「連続性のある写真表現」を可能にしたいという趣旨からだそうです。今回の映像撮影のモチベーションもこの考え方と似ていて、写真の延長線としての映像作品に興味がわいてきたことが一番のモチベーションだったりします。

今回のこの映像は前回アップした写真と全く同じ場所から撮ったものです。レンズもほぼ同じ焦点域のものをつけていたので、パッと見た感じ構図から何からかなり近く感じられると思います。これも今回の実験の一環。ほぼ同じ環境で写真と映像を撮ったときの印象を比較してみたいという考えから、あえてほぼ同じような撮り方をしてみました。

この映像も前回の写真と同様、花火だけでなく観客の様子まで含めたその場の雰囲気全体を伝えられるような作品作りをしてみました。カメラは映像専用のものを使ってもよかったのですが、写真との対比を重視したかったので、映像撮影機能のあるデジタル一眼レフカメラを使いました。僕が普段使っているカメラはキヤノンのEOS 5D。映像撮影用にはEOS 5D Mark2というカメラをレンタルしてきて、あえて全く同じシリーズのカメラの新旧機種を使ってみることにしました。

音声はカメラマイクで撮ると超ショボショボになってしまうので外部マイクを使う必要があります。花火の臨場感だけを伝えるのであれば指向性の強いガンマイクなどで花火の音だけを集中的に録音する方がいいのですが、今回は観客席の雰囲気を重視したかったので、普段使っているバイノーラルマイクを使いました。バイノーラルマイクとは人間の耳の位置に設置するマイクのこと。このマイクを使うことで人間が耳で聞いているのと全く同じ音を録音できます。当然のことながら周囲の観客席の人たちの話し声も録音されてしまいますが、それをも含めて「花火大会の雰囲気」を表現してみました。

バイノーラル録音 - Wikipedia

ということで最後にみなさんにお願いです。撮影した映像はYouTubeにアップしてこのブログエントリにプレーヤーを貼り付けていますので、このままでも映像を視聴できますが、もしよければプレーヤーをクリックしてYouTubeに遷移して、そこで映像を見てください。今回この映像はフルハイビジョンで撮影しています。プレーヤー右下の解像度選択ボタンで「1080p」を選択し、プレーヤーを最大化してフル画面で映像をご視聴ください。もう一つ。音声はPC付属のスピーカーではなく、ヘッドホンやイヤホンなどでお聞きください。バイノーラル録音は人間が耳で聞いた音を再現する録音手法です。その効果を最大限に発揮するためには再生時も耳の位置ギリギリで音を聞けるような環境が望ましいのです。映像は見る環境によって受ける印象が全く違うものです。お時間ある方はぜひ上述の方法でご視聴いただければと思います。

浦安市納涼花火大会には7つのプログラムがあり、それぞれテーマに沿った花火の打ち上げが行われます。今回撮影したのは最後のセクション、いわゆる「フィナーレ」と呼ばれるもの。花火大会の醍醐味は最後の連打。江戸時代から伝わる花火職人の一族、鍵屋が奏でる光と音の芸術をご覧ください。

アップロード日時 : 2010年8月 1日 16:46    撮影場所 : [ 千葉 ]

地図

撮影詳細情報

撮影情報
撮影場所 浦安市日の出地区 第32回浦安市納涼花火大会
撮影日時 2010年7月31日 20:32
カメラ情報
カメラ Canon EOS 5D Mark II
フォーマットサイズ 35mm
ISO感度 100
露出プログラム 絞り優先AE
露出補正 ±0EV
レンズ情報
レンズ SIGMA 12-24mm F4.5-5.6 EX DG ASPHERICAL /HSM
焦点距離 19mm
絞り f/4.5

コメント

コーヒー様の「花火は光だけでなく、その動きや音の伝わり具合まで含めて一つの芸術です」という言葉に、大きくうなずいてしまいました。そのくらい花火の音が好きなのですが、ここ2年ほど花火を見ていない状況が続いてました。そんな中、今回コーヒー様が映像を撮影されて、しかもそれをUPして下さったなんて、本当にうれしいです。ありがとうございます。せっかちな性格なので、コーヒー様の文章を読む前に、普通に映像を拝見し、そのあと、コーヒー様おススメの方法で拝見したら、これまたすごい。ビックリです。あまりに綺麗な映像、リアルな音に感激して、何度も何度も、再生してしまいました。まさに自分がそこにいるような感じがしますね。今年はまだ花火を見ていませんが、何だか見に行ったような気すらしています。

投稿者 のんのん : 2010年8月 1日 23:46


>のんのんさん
花火ってとても印象に残る夏の夜空の芸術だったりしますが、花火が始まるまでがけっこう大変で、ついつい二の足を踏んでしまうものです。駅から会場までの大混雑、会場の場所とり、などなど。でもいざ花火が始まってしまうと、夜空を埋め尽くす光と音の芸術作品に魅了されてしまいます。

テレビなどで花火を見ると、えてして迫力に欠けていると感じられるもの。それは会場でしか感じられない音が伝わる衝撃、夏の夜の雰囲気などなど、複合的な要因が絡み合っているのではないかと思います。ということで今回は会場の雰囲気のリアリティにこだわって撮影してみました。この映像を見ていただいて、少しでも花火大会会場の雰囲気を感じていただければ幸いです。

投稿者 コーヒー : 2010年8月 2日 01:36


こんにちは。YOUTUBEでコメント書かせてもらいました。Matsと申します。YOUTUBEのチャンネルからこのブログにたどり着きました。やはりアマチュアの方ではなかったのですね。三脚を使い音の重要性も理解していないと、この映像は撮れませんね。
私もいろいろ検索したのですが、あなたの映像がクオリティー的にも人に見せることに徹しているところも他の方が撮影した映像とは明らかに違っていたので、すぐ「このビデオは素人では撮れないな」と思いました。
早速外国のお友達数人にこのビデオのURLを送りましたところ大盛況ですよ。
特にアメリカ人からは絶賛されています。やはり日本の花火は世界一ですね。それを正確に記録するにはやはりそれなりの知識と経験が必要なわけでして、そのような意味で「本当によい仕事」をされたとおもいますよ。お金になるかならないかばかりが仕事とはかぎりませんからね。
長文失礼いたしました。重ね重ねお礼を申し上げます。
Mats

投稿者 Mats : 2010年8月 3日 12:34


コーヒー様の映像、「第32回浦安市納涼花火大会 - 雄大なる富士」 拝見しました。ほんとに凄過ぎる花火大会ですね。今まで地元の花火で十分に満足していましたが、この映像を見てビックリして、感激のあまり思わず涙がでます。鍵屋主催の花火大会が、関西であればうれしいなって思ってしまいました。富士山が消えずにずっと目の前にあるって、すごい演出ですね。クレーン車が2台あるのも、先日から映像を見ていて気になっていたのですが、これって富士山の演出と関係ありますでしょうかね。
いつも写真を拝見して楽しませてもらっておりましたが、映像でもこんなに楽しませていただいて、大変ありがたく思います。コーヒー様、素敵な映像をどうもありがとうございます。

投稿者 のんのん : 2010年8月 3日 20:58


>Matsさん
ブログへの訪問ありがとうございます!コメントとっても嬉しいです。映像業界から離れてけっこう経っていたので、ちゃんと撮れるかどうかドキドキしていましたが、なんとかうまいこと撮れました。おっしゃるように映像を撮るにあたって三脚や音声はかなり重要なファクターですよね。特に花火のように自ら動きがあって、音もともなう芸術作品の場合はなおさらだと思います。一方で、今回そこそこ撮れたのは自分の力というよりはむしろコンテンツによるところが大きかったのではないかと思っています。花火というのはそれ単体で一つの芸術作品なので、1カメのフィックス撮りであっても視聴に耐えうる作品になってくれたような気がします。いずれにしましてもMatsさんにこの映像を気に入っていただけてとても嬉しいです。しかも海外の友人へも紹介していただとのこと、ありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。

投稿者 コーヒー : 2010年8月 4日 02:02


>のんのんさん
「雄大なる富士」も見ていただいたんですね。特にどこにも掲載せずしれっとアップしただけなのに見つけていただけてとても嬉しいです。「雄大なる富士」は最初にアップした「フィナーレ」とはまた違った演出で、別の感動がありますよね。特に最後の部分、緑の花火がブワッと開いてキラキラ輝きながら散っていく様子がとても印象的でした。ちなみに映像の映っているクレーンはまさにこの富士山の演出用で、あの2台のクレーンで富士山の形にワイヤーをつり下げていました。映像は写真とはまた違った感動がありますよね。今回の映像撮影はある意味トライアルみたいなものでしたが、もしまた映像に適した被写体と巡り会えたときには、再び映像撮影にチャレンジしてみようと思います。

投稿者 コーヒー : 2010年8月 4日 02:09


ちょこちょこと、コメントすみません。コーヒー様の映像「Summer Days」を拝見いたしました。 これはコーヒー様が撮影された写真に手を加えられたものなんでしょうかね。見た後も、写真と音楽がいつまでも頭から離れないような素敵な映像ですね。とっても気に入ってしまいました。昨日立秋ということで、暦のうえではもう秋。でもまだまだ残暑厳しい毎日を過ごしていますが、この映像を見ていたら、過ぎ去る夏を惜しむような、ちょっと切ない気持ちになってきます。

投稿者 のんのん : 2010年8月 8日 15:06


>のんのんさん
YouTubeで「Summer Days」見られたんですね。想像通り、あの映像に出てくるのは全て僕が撮影した写真です。けっこう前の話になるのですが、撮影した写真を一つのストーリーでまとめてスライドショーにしたらどうなるだろ?と思ったことがあるんです。で、そのときに設定したストーリーが映像のタイトルそのまま「夏」というもの。夏っぽい写真を集めて並べて作ってみたのが「Summer Days」です。あの映像で表現したかったのは、のんのんさんが書いてくださった通り、夏の日の華やかさと、過ぎ去る寂しさみたいなものです。映像の意図を感じとってくださって、とても嬉しいです。

投稿者 コーヒー : 2010年8月 9日 02:28


コメントを投稿

オリジナルファイル

 
 この記事の写真はflickrにアップロードしています。

広告

ATOM ATOM rss1.0 rss2.0