和風建築の涼

季節は夏。照りつける太陽の光がとても眩しく、かつ暑く、ただ立っているだけでも汗がしたたるような陽気でした。建物の中は日陰なので、それなりに暑さをしのげるのは当然ですが、不思議だったのは旧岩崎邸の和館が想像以上に涼しかったこと。いわゆる日陰の涼しさよりももう一段階涼しかったのです。そんな涼しさを感じられたのが今日の写真の場所。

この部屋、開口部は写真正面のふすまの部分しかないのですが、なぜか風が通るのです。そのため体感温度が下がり、実気温よりもはるかに涼しく感じられたのです。旧岩崎邸はその名の通りかつての岩崎さんの家。岩崎さんと言えば岩崎弥太郎。三菱グループの創始者です。ということはこの家が建てられたのは明治時代。エアコンのないこの時代、建物自体に「涼」を求める何かしらの工夫がなされているのではないかと思うのですが、結局それが何なのかはわからずじまい。しかしながら、思わず遭遇した夏の涼にしばし暑さを忘れ、穏やかな時間を過ごすことができました。